原産地規則

原産地規則とは物品の国籍を決めるためのルールのことです。なぜ原産国の決定が必要なのか、それはルールとしては以下の理由によります。

関税区別のため(相手国に特恵待遇を与える)

○ EPA(経済連携協定)特恵原産地規則
○ 一般特恵(GSP)原産地規則

自国のため(非特恵)

○ 原産地表示(消費者の安心)
○ 貿易統計
○ 輸入貿易管理
○ セーフガード措置
 

point つまり原産地規則とは何か?

原産国を決めるという行為は、つまり上記の様に原則的には輸入時の特恵待遇のために行うものです。その特恵待遇を与えるために様々なEPAなどの地域協定があり、その中にて原産国の決定方法、つまり、原産地規則が謳われています。国際的な統一ルールに近いWTOの提唱する「非特恵」の原産地規則は、一般的定義が定められておりますが、詳細な基準については定められていない部分が多く曖昧なものになっています。最近では、日本においては消費者の安全意識の高まりに伴い、食品を始めとして原産地の表示はとても大切なものになっています。しかしそれは海外営業の視点でみれば、輸入側、つまり売り先の国ではどうなのか?によるものであり、そこの国で必要ないと言われれば必要ないのです。そこが人の経験により諸説生まれる原因です。
 

point EPA(経済連携協定)とは?

国ごとに独自の資源、産業があり、その産業を育成するため、自国の利益を最大化するために、特定の国との間に品目ごとに通商、産業政策を決定することがあります。その際、お互いがお互いの国の製品などに対する関税を撤廃したり、引き下げたりして、貿易の促進を図ります。そのためにその協定を結ぶ国同士が明確に自国原産品と定義できるための明確な原産地規則が必要になるのです。
 

point 一般特恵(GSP)

開発途上国の輸出所得の増大、工業化、経済発展を支援するために、主に先進国が一般の関税率よりも低い関税(特恵税率)を適用することがあります。日本では関税暫定措置法によって規定されます。その製品がそれらの開発途上国のものであるかどうか、具体的に定義をするために原産地を判断するルールが必要になるのです。
 

point 原産地(原産国)はどうやって決めるのか?

様々な地域協定(特恵規則)、WTOルール(非特恵規則)などを見た上で考えますと、以下のプロセスで原産地を決定するのが理想的と考えられます。

1. 原産地基準を満たしているかチェック(特恵・非特恵)

特恵待遇を受けるために必要な生産が行われているか?

2. 積送基準を満たしているかチェック(特恵・非特恵)

運送の途上において、原産品としての資格が失われていないか?

3. 手続的要件を満たしているかチェック(特恵)

上記の基準を満たしていることを税関に証明できるか?
輸入時に特恵待遇を受けたい場合、上記の1~3を満たす必要があり、輸出の場合においては1~2にて自社製品の原産地を決定し、3は相手国の特恵要求事項による、と言えます。
 

point 原産地基準とは?

それでは、1の原産地基準を満たしているかは、どう判断するのでしょうか?これが各EPAなどで定められています。製品や協定によって原産地基準は種類が変わります。
 

point 完全生産品基準

生産が1カ国で完結しているかで判断します。農水産品、鉱業品などの一次産品、くず、廃棄物、それらから回収された物品、それらの完全生産品のみから生産された物品を指します。

例 : 全ての材料がタイで生産され製品もタイで生産された=タイ製
 

point 原産材料基準

生産が1カ国で完結していても、生産に使用される材料は他国製(非原産材料)である場合は、その製品の一次材料がどこのものかで判断します。
例 : 中国産小麦を使った日本製の麺(一次材料)を使用したカップメン=日本製
 

point 実質的変更基準

上記の「中国産小麦→日本製麺」のような変容プロセスが「実質的変更基準」になります。つまり、非原産材料に加工等を加え、変更をもたらしたことにより原産品となる産品のことです。実質的変更とは何か?を考える時は以下の3つが基準になります。この「変更」の基準は、EPAでは品目別規則(協定の附属書)で規定されています。尚、WTOルール(非特恵規則)においては、生産が2ヵ国以上に渡る場合は、原産地は実質的な変更が行われた国とされています。実質的な変更が行われる国とは「実質的な変更をもたらし(HSコードが変わる)、新特性を与える行為を最後に行った国」とされています。

1. 関税分類変更基準

産品のHSコード(HS番号)と使用された全ての非原産材料のHSコードが異なる結果になった場合に原産品となります。

例 : マレーシア協定品目別規則:第20.07項

○ 他類材料からの変更

非原産第8類の果物を使用してマレーシアでジャムを生産(第20.07項)
=マレーシア製

非原産第20類のレモンジュースを使用してマレーシアでジャムを生産(第20.07項)
=マレーシア製ではない※HSコードが異ならない結果だから。

例 : タイ協定品目別規則:第2103.20号

○ 他類材料からの変更:第7類、20類からの変更を除く

非原産第7類、20類、21類以外の材料を使用してタイでトマトケチャップを生産(第2103.20項)
=タイ製

非原産のトマト(第7類)を使用してタイでトマトケチャップを生産(第2103.20項)
=タイ製ではない ※ 第7類の材料からの変更結果だから。

2. 加工工程基準

特定の加工工程が施された場合に原産品となります。

例 : メキシコ協定品目別規則:第6110.11号―第6110.20号

加工条件が「当該産品が一方又は双方の締約国の区域において、裁断され若しくは特定の経常に編まれ、かつ、縫い合わされること又は組み立てられることを条件とする」と定めています。

3. 付加価値基準

産品に付加された価値が条件を満たした場合に原産品となります。原産資格割合、或いは、域内原産割合と呼ばれ、付加される価値と産品の価額(FOB)とを比較して判断します。算出方法は各協定にて規定されており、関税分類の変更は必要ありません。
 

point 補足規定について

補足規定には以下のようなものがあります。

累積(ACU)モノの累積・生産行為の累積

複数の国で行われた生産を一纏まりとみなし、原産地基準を判断する。1カ国では原産地基準が満たせなくでも、2カ国の生産を累積すれば満たすことが出来る場合があるためです。モノの累積とは、例えば日本からモノを特恵受益国の完全生産品とみなして原産材料とすることができることを意味します。※関税暫定措置法施行令第26条第2項生産の累積とは、相手国で行った生産を自国で行った生産とみなすことを指します。

例 : 一般特定原産地規則:関税暫定措置法施行令第26条第3項

東南アジア諸国(インドネシア・マレーシア・フィリピン・タイ・ベトナム)のうちの1国から日本へ輸出される物品で当該物品の生産が東南アジア諸国のうちの2国以上を通じて行われた場合、東南アジア諸国を1カ国とみなすこと。その他、シンガポール特恵原産地規則、メキシコ特恵原産地規則にも同様のルールがあります。

僅少の非原産材料(DMI)

原産地基準が関税分類変更基準を採用している場合、非原産材料の全てのHSコードが変わることが条件になりますが、一部の僅かな部分のためにその条件が満たせない場合など、その僅かな部分を無視ししても良い、という規定があります。例として、メキシコ協定においては、条件を満たせない材料の価額が全体の10%以下である場合はDMIを適用できるとしています。

原産資格を与えない作業

特定の作業のみでHSコードを変えることができない、加工工程を満たすと認めない、という規則があります。以下の作業では原産地の変更は認められません。

○ 輸送中に産品を良好な状態に保つための行為。
○ 改装、仕分け
○ 瓶詰め、箱詰め、梱包、包装
○ セットにすること
○ マーク、ラベルの貼り付け
○ 分解
○ 単なる切断等
 

point 積送基準とは?

貨物が日本に到着するまでに、原産品としての資格を失っていないかを判断する基準です。モノが直接運送されるか、第三国を経由する場合には、積み下ろし、及び、産品を良好な状態に保存する等の作業のみとされています。
 

point 手続き的規定とは?

税関に対して、原産地基準、積送基準を満たしていることの証明をすることです。原産地証明書や通しB/L等の運送要件証明書がそれにあたります。原産地証明の提出は免除される場合もあります。
 

point 原産地と海外営業

上で述べましたように、基本的には「輸入マター」なのですが、輸出の場合は相手国、つまり、代理店やお客様が特恵を受けられる場合もありますので、協力をしてあげましょう。

1. 輸出先の国と日本のEPA締結を確認する
特恵を享受するためには、EPAが締結されている必要があります。外務省のホームページから確認が可能です。EPAを締結していないのに原産地証明を要求される場合、それは非特恵目的の原産地証明になります。

2. 商品のHSコードを特定する
協定では産品の特定にHSコードを利用します。輸入者に通関時の輸入申告を何番でやっているか、或いは、税関に問い合わせれば確認が可能です(6桁)。現在はHS2007が一般的ですが、EPAにHS2002の番号が適用されている場合、番号が変わることがあります。

3. 商品に該当する関税率を確認する
協定のメリット状況、協定が無くても仕入れのコスト算出、或いは、関税の逆転現象を防ぐ意味でも大切です。逆転現象とは、例えばEPA締結後に一般税率の引き下げや撤廃があった場合、原産地証明を提出しない方が関税が安くなることがあることを意味します。ジェトロのWorldTariffや外務省ホームページで関税を確認しましょう。

4. 商品が原産地規則を満たすか確認する
協定が認める日本原産品でなければ特恵を享受することができません。協定のHS毎の規則は外務省ホームページで確認できます。

5. 原産地証明書の取得手続きへ・・・
原産地証明を取得するための手続きへと進みます。書類を準備し、商工会議所へ。
 

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